遊星歯車展示

動きのある機械を作るにあたって、必ず出てくる重要な部品の一つが「歯車」です。 本展示では、そんな歯車の一つである「遊星歯車」について説明します。

メインターゲット:機械系への進学に迷っている1年生や高校生以上
ページ閲覧・体験にかかる時間:5分~10分

遊星歯車の概要

機械(モータやエンジンなど)から取り出した動力を伝達したいとき、 どのような部品を組み合わせるとよいでしょうか? その答えの一つが「歯車」でしょう。 みなさんご存じの通り、大きさの違う歯車を2つ組み合わせることで動力を伝達するだけでなく、 回転数や回転速度を調節することもできます。しかしその弱点の一つとして、 「入力軸と出力軸を同一直線上に配置できない」という性質があります(画像1を参照)。 このため、必要なスペースはどうしても広くなってしまいます。

▼画像1▼

このような問題点を克服するために、入力軸と出力軸を同じ直線の上に配置し、 狭いスペースでも動力の伝達や回転数・回転速度の変更を可能にしたのが、遊星歯車機構と呼ばれる機構です (画像2を参照)。

▼画像2▼

遊星歯車機構とは、中央の歯車と、その周りを「自転」「公転」しつつ回る複数の歯車たちから構成される機構です。 太陽を中心として運動する惑星のように見えることから名づけられました。

その例えの通り、中央の歯車を「太陽歯車(S)」、周囲を公転する小さな歯車を「遊星歯車」と呼びます。 さらに、一番外側の歯車である「内歯車(R)」と、遊星歯車の運動で回転する「遊星キャリア(C)」が含まれます。
上の画像2で言うところの、オレンジ色の部品が太陽歯車、黄緑色の部品が遊星歯車、 水色の部品が内歯車、灰色の部品が遊星キャリアになります。

太陽歯車、内歯車、遊星キャリアのうち、どれか1個を固定することで、残りの2つを組み合わせた運動を 取り出せるようになります。今回は一例として、内歯車を固定し、太陽歯車から遊星キャリア (とそれにつながる軸)に動力を伝える様子を再現しました。


▼別構造の遊星歯車の画像と動画▼

このように遊星歯車機構は、コンパクトであり、入力軸と出力軸の組み合わせや回転速度を自由に 切り替えられるという長所があります。

このように遊星歯車機構は、コンパクトであり、入力軸と出力軸の組み合わせや回転速度を自由に 切り替えられるという長所があります。

遊星歯車機構と実世界とのつながり

次に、遊星歯車機構の応用先を2つご紹介します。
1つ目は、自転車の内装式の変速機です。同じ数の(平)歯車を組み合わせるよりも コンパクトに動力が伝達できるという点を活かし、外部に歯車が露出しないメンテナンスフリーの 変速機として用いられています。
2つ目は、ハイブリッド車のパワートレインです。遊星歯車機構には端子が3つあり、 自在に入力と出力を切り替えられます。この特徴を活かし、内歯車とホイール、太陽歯車とセルモーター、 遊星キャリアとエンジンを接続して、エンジン動力をうまく分割して充電を行うことで、 燃費を最適にしているそうです。 (Liu, 2005) [1]

もちろんこれ以外にも様々なところで、遊星歯車やその他の歯車が用いられています。 動く機械を見たら、内部の動力伝達を行う機構を想像してみるのも面白いかもしれません!

[参考文献]
[1] Liu, Jinming., Peng, Huei., and Filipi, Zoran. (2005). Modeling and Analysis of the Toyota Hybrid System. International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics.

遊星歯車と授業とのつながり

機械系二学科では、2年次の冬学期(Aセメスター)と3年次の夏学期(Sセメスター)にかけて、 機械工学の基本を座学及び演習で学びます。遊星歯車は、その中の「機構学」や「機械設計」という科目に登場します。 これらの科目では、「複数の物体間で動力を伝達するにはどうすればいいのか」 「複数の物体の相互運動を解析するにはどうすればいいのか」といった、 ハードウェアとしての機械の基礎を勉強します。

今回は遊星歯車機構の動画を作るにあたって、"Solidworks"というCAD(Computer-Aided Design)ソフトを 使用しました。機械系ではこのソフトを使って、PC上で機械を設計することができるほか、 動作のシミュレーションや図面生成を行ったりすることもあります。3年次の学生演習でも、Solidworksを使用して エンジンや自分の好きな機械を設計する機会が数多くあります。

歯車機構で動力を伝達したり回転速度を調整したりするのは、機械やロボットの設計においてとても重要な概念です。 機械系の大学院(知能機械情報学専攻)の院試でも、遊星歯車の質問や、モーターの回転速度を歯車で 調整する話題が出たことがあります。 「歯車」とは、それほど重要な概念なのです!
[参考] 知能機械情報学2018年度入学試験(専門科目)

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